〝高齢者〟(=高齢当事者)として、あらためて高齢社会を見つめ、自ら実践する
研究員 山中小恵 (播磨町在住 78歳)
報告にあたって ― なぜ自治研研究員を続けているか ―
○ 私は現役時代、神戸市役所の現業職員で、福祉職場・老人施設の介護職でした。
○ 現在78歳です。夫に先立たれ、子供も独立し、播磨町のマンションでの独居生活を余儀なく
されています。
○ 自分自身が高齢当事者になり、ふと自分自身をとりまく状況・情勢をみまわした時、「高齢当
事者として高齢者問題/高齢社会を自分自身の問題として考えてみよう」と思い立ちました。
1つは友人と「やさしさとぬくもりのある高齢社会をよくする会・兵庫」(略称:「高齢社会
を考える会」)を立ち上げ活動しています。
また2つは、居住しているマンションで「仲間づくり」を目的とした「ふれあい茶屋」を
立ち上げました。この2つを中心に「私なりの、生き甲斐のある高齢生活」を送っています。
○このような私が現役時代のご縁で、自治労兵庫県本部自治研の研究員に加えていただいております。
本総会ではこの「2つの実践」を報告させていただきます。
○自治研研究員は「80歳を迎えるまで」と考えています。
報告1「やさしさとぬくもりのある高齢社会をよくする会・兵庫」の活動
1.立ち上げの経過
・「高齢者、障害者が直面している課題」について、当事者として関わりたい、と考え現役時代の仲間、退職後に知り合った仲間と一緒に表記集まりを立ち上げました。
2.主な活動
・隔月に例会を神戸市内で開催。介護保険制度、障害者総合支援制度のあらまし、をはじめ、会員一人ひとりが直面している問題を率直に話し、問題を共有し、『会報』で発信しています(約80人に)。
3.会員からの生々しい「家族介護」の実例報告
(1)Aさん(70代前半、男性)の実例
・家族構成:70代前半の妻(10年前に癌に罹患)/90代後半の実母/80代後半義母(妻の母)、との4人家族
・介護の実状:妻が癌治療中のため、自身を含めた日常の家事をすべておこなっている。
さながら老人ホーム(?)のような毎日。訪問看護師さんの訪問看護を受けている
(2)Bさん(80代前半、男性)の実例
・家族構成:50代前半の息子、との2人家族
・介護の実状:妻は数十年前に癌に罹患、看病の甲斐なく先立たれた。1年前には上の息子が癌に罹患、看病の甲斐なく先に逝った。この悔しさのなかで日々暮らしている。
自身は元気だが何年続くか不安だ。
(3)「家族介護」とは?
・「介護の社会化」として介護保険制度が生まれました。しかし介護保険制度は「介護ができる家族」が同居している場合は適用されません。
・今、ヤングケアラー問題が社会問題化しています。「家族介護」の典型であり、〝一種の児童労働〟です。「介護は家族がやるものだ」という〝古い社会通念〟に子供たちが縛られています。
・ヨーロッパのように「家族介護者にも賃金を!」また「子供たちから介護(という荷物)からの解放を!」の声を自治労が挙げるべきだ、と思います。これが実現して初めて「介護の社会化」と言えるのではないでしょうか?
報告2 居住するマンションでの「ふれあい茶屋」の活動
1.立ち上げの経過
・播磨町の82所帯のマンションに20年余り暮らしています。マンション独特の「隣は何をする人ぞ」という雰囲気。自治会はありません。
・ここで「仲間づくりを」と思い立ち、(ⅰ)出会う居住者への声かけ(ⅱ)自宅に呼んでのお茶会・食事会、を半年余り続けました。
・この〝準備期間〟を経て、思い切って「ふれあい茶屋」を呼びかけました。「参加者の年齢、男女は問いません。マンション住民は誰でも参加できます」を合言葉に、管理理事会の許可をいただき、マンション集会室を会場に「公の、みんなのふれあい茶屋」として、2020年3月にオープンしました。
・心に秘めている目標・理念は「私たちの側からの町づくり」です。
2.取り組みの紹介
①年1回の総会(3月)
・会計報告 ・年間目標確認 ・役員(世話役ボランティア)確認 ・記念品贈呈
・記念イベント(手品/楽器演奏/唄/講談等)
②月1回の〝茶屋開店〟
・食事/お茶(コーヒー、紅茶)/お茶菓子
・手芸/脳トレゲーム(麻雀、トランプ、あやとり)
・持ち帰り作品作り(カレンダー/写真立て/箱/紙細工)
・四季の1Fエントランスホール飾り作り(門松/七夕飾り/クリスマスツリー)
・集会室壁面飾り作り
③開店準備会
・茶屋開店準備/朝ポスター作成/『おたより』作成
④年1回のバザー
・資金集め
⑤年2回の講演会
・播磨町保健師さんの健康講座/介護保険講座
3.抱えている問題点
・何しろ、世話役ボランティア全員が70歳以上です。抱えている問題点を整理します。
(ⅰ)運営維持の難しさ
(ⅱ)ボランティア活動の難しさ
(ⅲ)月1回の〝茶屋〟継続の難しさ
・今、考えていることは
(ⅰ)「一度参加してみよう」と意欲をそそる企画をたてる。
・簡単なおやつ作り ・電子レンジでできるおかず作り ・持ち帰り用手作りおせち作り
(ⅱ)月1回の〝茶屋開店〟に加えて、月1回の「脳トレゲームの日」/「ワイワイと遊べる日」を企画する等々です。
※ このようななか、「高齢社会をよくする会・兵庫」の仲間が、私に続いて、居住マンションで「ふれあい茶屋」を始めました。嬉しい限りです。